マダニ
今回は外部寄生虫のひとつである『マダニ』についてブログを書いていこうと思います。
ダニは、肉眼で確認できる大きさのものから、顕微鏡を使用しないと確認できない小さなもの、寄生の仕方も様々です。
そんな沢山種類のいるダニですが、今回はその中から『マダニ』という種類のダニをご紹介します。
『マダニ』ってどんな生き物?
マダニは、草むらや森林などに多く生息しています。
1年を通して活動しますが、特に15℃以上の気温になると活動が活発になります。
マダニは吸血用の口器を持っていて、動物や人の血液を吸血、脱皮を繰り返し成長します。
大きさは、未吸血の成虫で3mm程ですが、吸血後は10mm程に大きくなります。
愛犬の体に寄生したマダニを見つけた時、無理に取ろうとすると皮膚に口器部分が残ってしまい化膿してしまう場合があります。
見つけた時はすぐに動物病院へ行き処置をしてもらいましょう。
ライフサイクル
①産卵(マダニは数千個の卵を地面に産卵)
②幼虫(宿主に寄生し吸血)
十分に吸血を終えると宿主から落下し、脱皮する
③若虫(宿主に寄生し吸血)
十分に吸血を終えると宿主から落下し、脱皮する
④成虫(宿主に寄生し吸血)
十分に吸血を終えると地面に落下し産卵する。
この①から④のライフサイクルを繰り返し成長していきます。
マダニは目周り、鼻周り、耳、頸部、お尻周りなどを好んで吸血することが多いです。
お散歩から帰ってきたらマダニがついていないかチェックする習慣をつけておきましょう。
症状
沢山のマダニが吸血することによって貧血を起こします。
マダニが吸血した際に犬の体内へ唾液が侵入、その唾液により強い痒みに襲われます。
紅斑(皮下組織での血管拡張や充血によって、赤い痣のようになる)、角化症(角質層が硬く厚くなる)、脱毛、丘疹(皮膚表面がブツブツした状態)
ズーノーシス(人獣共通感染症)
※『ズーノーシス』とは人はもちろんのこと、全ての哺乳類が感染対象になる感染症のこと。
・重症熱性血小板減少症候群(SFTS)
・バベシア症
・日本紅斑熱
・ライム病
・エールリヒア症
・Q熱
ズーノーシスの中には犬は軽症だが人に感染すると重症になるものもあります。
特に『 重症熱性血小板減少症候群(SFTS) 』はSFTSウイルスが感染したマダニに刺咬すると感染します。
ウイルスの潜伏期間は6日~2週間とされており、発熱、消化器症状(嘔吐、下痢、腹痛、下血)、神経症状、筋肉痛、腹痛、血液検査の異常など様々な症状を引き起こし、重症化すると亡くなってしまう可能性もあります。
致死率は10~30%と高く、とても恐ろしウイルスです。
予防について
期間
大体、春から秋にかけて(4月~11月)が基本的ですが
最近は温暖化の影響もあり12月でも暖かい日もあるので、その年の気温に合わせて何月まで予防するかを決めましょう。
もちろん1年中暖かい地域もあるので、通年で投薬しても良いと思います。
種類
・錠剤
・チュアブル
・スポットタイプ
予防薬の種類は様々です。
フィラリアや消化管内寄生虫なども一緒に予防ができるオールインワンタイプの予防薬もあります。
動物病院へ行ったときに自分の愛犬にはどんな薬が合っているか相談してみてください。
まとめ
『マダニ』がどんな生物か知って頂けましたか?
動物病院で勤務をしていますが、暖かい季節になると『お散歩から帰ってきたら皮膚に虫が付いていて・・・これってダニですか?』と来院され、確認するとマダニが寄生していた。なんてことも良くあります。
マダニに寄生されたことにより愛犬、飼い主さんの命に係わる危険もあります。
お散歩後のボディーチェックや予防をしっかり行い、大切な愛犬と自分自身の命を守る為にもしっかり予防を行ってくださいね!